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本来なら後頭部のあるべき位置にあること
- 2010/09/13 (Mon) |
- 小説 |
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無遠慮に志郎を眺め回す、ジャッキー。その目が、左手首にはめられた腕時計に止まるのを感じた。ぎくりと身を震わせた志郎は、何気ないふうを装いながらするりと時計を外す。
それは、大学教授をしている志郎の父が、高校の入学祝いに買い与えてくれた高価な品だった。すばやくスポーツバッグにほうり込み、代わりに部活のときに使っていたリストバンドを引っ張り出すと、ゆったりと時間をかけてはめた。
「なにそれ? かっけえ!」
志郎の思惑どおり、ジャッキーは速攻で食いついた。
「黒地に赤星のリストバンドかよぉ。すげぇボク好み❤ どこで買ったの?」
「……知らないです」
ドキドキしながら志郎は答えた。
「もらいものなんで、本当に知らないんです」
実際、それがどこで売られているのか、志郎は知らなかった。中学時代、まだ仲が良かったころのジュンヤから贈られたものだからだ。
「これは友情の証だ」照れ笑いをしながら、ジュンヤは笑ったはずだ。それは確かにあったはずの事実だ。それでも、すでに彼がどんな表情をしてそう言ったのか、思い出せない。
記憶が混乱している。
受け入れがたい事実が、志郎を追い立てる。
幾度、捨ててしまおうと考えたことか。あとでいい、明日でいいと先延ばしにして、今日まできてしまった。それを引き取ってもらえるのなら、都合がいい。捨てるわけではないのだから、それほどの罪悪感も抱えずにすむことだろう。
「あげますよ、欲しいなら」
できるだけ何気なく聞こえるように、志郎はさらりとつぶやいてみた。
「いいのかよ? やりぃ! アンタ最高っ」
腕ごとリストバンドを引っ張られ、志郎は慌てた。
「ちょっと待ってください、自分で取りますから」
ゆったりと、慎重にリストバンドを外していく。
(腕が軽い)
志郎には、締めつけられてできた細かなゴムの跡だけが残った。
「ありがとアリガトさんきゅっきゅ! アンタ、本当に太っ腹だねぇ」
言いながらジャッキーは、そのリストバンドをはめるでもなく眺めるでもなく、すぐさま尻ポケットの中にくしゃくしゃに押し込んでしまった。
「ちょ……えっ? 何……」
動揺した志郎は、自らのバッグに足を取られて転びそうになった。衝撃で、先ほどほうり込んだばかりのスポーツウォッチがのっぺりと顔をのぞかせる。深海でも時を刻むことが可能なのだという時計の価格は、数十万円。大切にしろと、父は高校生には不釣合いな品を快く買い与えてくれた。
本当にこれが自分に必要なのか、今ではよく分からない。それでも、志郎が深海になど潜らないことだけは確かなことだった。
「よっし、仕事終了! キーワードも言わせたしな。カンペキ。あっ、あそこの牛丼屋なんてどう? ボク肉食いだからさぁ。肉食わないと、力が出ない~ってね」
ジャッキーは満足そうな顔で、通りをうかがっている。うきうきと小躍りし、今にも駆け出さんばかりに身体を躍動させた。
「キーワードってなんですか」
志郎は食い下がる。尻ポケットから、今にも落ちそうになっているリストバンドの星を横目にして。
「ああ」ジャッキーは大きな口を横に広げた。
「ききやルール、その四。キーワードを決め、時間内にそれを客の口から言わせること。アンタさっき言ったじゃん。欲しいならあげますよ、ってね。倒置法でも構わない。意味が同じだからねぇ」
動揺した志郎は、反動から息がつまり激しくむせ返った。
「魚の肴、お・い・し・い・なぁ~♪」
大柄な体躯のジャッキーが、妙な節をつけたデタラメソングを歌っている。人波は彼の前で、ぱっくりと割れ、その真後ろを歩いている志郎の背後で再びひとつにまとまった。
「これって、まるで……なんていうんだっけ?」
志郎は、ぼんやりと空を仰ぐ。
「ああ、十戒」
レンタルビデオ店で借りた古い映画に、海が割れるシーンがあった。CGのない時代というのに、よくあれだけのものが撮れるのだと感心した。あの名場面とこの怪しげな男とをいっしょにしては申し訳ない気がしたが、日ごろからボキャブラリィの少ないことを姉に指摘されている志郎の頭では、これが精いっぱいだ。
「ジャッキー」志郎は、上機嫌に歌っている男に声をかけた。
「少しは黙ったらどうですか」
返事はせず、代わりに大口を開けて伸びをして、ジャッキーはぐるんと振り返った。横ではなく、縦にである。
「なんでよ?」
本来なら後頭部のあるべき位置にある、逆さまのジャッキーの顔。そのままの体勢で、よくぞ歩いていられるものだ。ここにはほかにもたくさんの人々が行き交っていたが、v26 薬意外にも皆、無関心そうに足早に立ち去っていく。
(きっとかかわり合いになりたくないんだろうな)分かるな、その気持ち。
志郎は、深いため息を取り落とす。
「頭に血が上っても、知りませんよ」
「もう上っちゃったし」
ジャッキーは真っ赤な顔でぜいぜい答えた。
「さぁ、行こう! 牛丼屋はすぐそこだぞ」
「さっき魚が食べたいって言ってなかったですか?」
「あれれ? 無関心な顔しちゃって、ちゃぁんと聞いてたんだネ」
志郎の腕を急激に引っ張りつけたジャッキーは、にたり、と笑った。
それは、大学教授をしている志郎の父が、高校の入学祝いに買い与えてくれた高価な品だった。すばやくスポーツバッグにほうり込み、代わりに部活のときに使っていたリストバンドを引っ張り出すと、ゆったりと時間をかけてはめた。
「なにそれ? かっけえ!」
志郎の思惑どおり、ジャッキーは速攻で食いついた。
「黒地に赤星のリストバンドかよぉ。すげぇボク好み❤ どこで買ったの?」
「……知らないです」
ドキドキしながら志郎は答えた。
「もらいものなんで、本当に知らないんです」
実際、それがどこで売られているのか、志郎は知らなかった。中学時代、まだ仲が良かったころのジュンヤから贈られたものだからだ。
「これは友情の証だ」照れ笑いをしながら、ジュンヤは笑ったはずだ。それは確かにあったはずの事実だ。それでも、すでに彼がどんな表情をしてそう言ったのか、思い出せない。
記憶が混乱している。
受け入れがたい事実が、志郎を追い立てる。
幾度、捨ててしまおうと考えたことか。あとでいい、明日でいいと先延ばしにして、今日まできてしまった。それを引き取ってもらえるのなら、都合がいい。捨てるわけではないのだから、それほどの罪悪感も抱えずにすむことだろう。
「あげますよ、欲しいなら」
できるだけ何気なく聞こえるように、志郎はさらりとつぶやいてみた。
「いいのかよ? やりぃ! アンタ最高っ」
腕ごとリストバンドを引っ張られ、志郎は慌てた。
「ちょっと待ってください、自分で取りますから」
ゆったりと、慎重にリストバンドを外していく。
(腕が軽い)
志郎には、締めつけられてできた細かなゴムの跡だけが残った。
「ありがとアリガトさんきゅっきゅ! アンタ、本当に太っ腹だねぇ」
言いながらジャッキーは、そのリストバンドをはめるでもなく眺めるでもなく、すぐさま尻ポケットの中にくしゃくしゃに押し込んでしまった。
「ちょ……えっ? 何……」
動揺した志郎は、自らのバッグに足を取られて転びそうになった。衝撃で、先ほどほうり込んだばかりのスポーツウォッチがのっぺりと顔をのぞかせる。深海でも時を刻むことが可能なのだという時計の価格は、数十万円。大切にしろと、父は高校生には不釣合いな品を快く買い与えてくれた。
本当にこれが自分に必要なのか、今ではよく分からない。それでも、志郎が深海になど潜らないことだけは確かなことだった。
「よっし、仕事終了! キーワードも言わせたしな。カンペキ。あっ、あそこの牛丼屋なんてどう? ボク肉食いだからさぁ。肉食わないと、力が出ない~ってね」
ジャッキーは満足そうな顔で、通りをうかがっている。うきうきと小躍りし、今にも駆け出さんばかりに身体を躍動させた。
「キーワードってなんですか」
志郎は食い下がる。尻ポケットから、今にも落ちそうになっているリストバンドの星を横目にして。
「ああ」ジャッキーは大きな口を横に広げた。
「ききやルール、その四。キーワードを決め、時間内にそれを客の口から言わせること。アンタさっき言ったじゃん。欲しいならあげますよ、ってね。倒置法でも構わない。意味が同じだからねぇ」
動揺した志郎は、反動から息がつまり激しくむせ返った。
「魚の肴、お・い・し・い・なぁ~♪」
大柄な体躯のジャッキーが、妙な節をつけたデタラメソングを歌っている。人波は彼の前で、ぱっくりと割れ、その真後ろを歩いている志郎の背後で再びひとつにまとまった。
「これって、まるで……なんていうんだっけ?」
志郎は、ぼんやりと空を仰ぐ。
「ああ、十戒」
レンタルビデオ店で借りた古い映画に、海が割れるシーンがあった。CGのない時代というのに、よくあれだけのものが撮れるのだと感心した。あの名場面とこの怪しげな男とをいっしょにしては申し訳ない気がしたが、日ごろからボキャブラリィの少ないことを姉に指摘されている志郎の頭では、これが精いっぱいだ。
「ジャッキー」志郎は、上機嫌に歌っている男に声をかけた。
「少しは黙ったらどうですか」
返事はせず、代わりに大口を開けて伸びをして、ジャッキーはぐるんと振り返った。横ではなく、縦にである。
「なんでよ?」
本来なら後頭部のあるべき位置にある、逆さまのジャッキーの顔。そのままの体勢で、よくぞ歩いていられるものだ。ここにはほかにもたくさんの人々が行き交っていたが、v26 薬意外にも皆、無関心そうに足早に立ち去っていく。
(きっとかかわり合いになりたくないんだろうな)分かるな、その気持ち。
志郎は、深いため息を取り落とす。
「頭に血が上っても、知りませんよ」
「もう上っちゃったし」
ジャッキーは真っ赤な顔でぜいぜい答えた。
「さぁ、行こう! 牛丼屋はすぐそこだぞ」
「さっき魚が食べたいって言ってなかったですか?」
「あれれ? 無関心な顔しちゃって、ちゃぁんと聞いてたんだネ」
志郎の腕を急激に引っ張りつけたジャッキーは、にたり、と笑った。
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