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2025年に同時通訳装置がコモディティとして普及しているかどうかは

現状分析の部分(高齢化社会の到来、グローバル化による賃金低下、化石燃料の枯渇etc)は、
この本でなくとも社会問題として取り上げられているところである。
ではそれに対してどうアクションを起こすのか、
それを提言しているのが「3つのシフト」。

しかし、私はまったく共感できなかった。
例えば・・・、

1.連続スペシャリストになれ!
一つの分野を「私の専門分野だ」と言えるところまで持っていくだけでも、
大変な努力が必要になる。
それを連続していくつも持つなど常人にはとても不可能だと思う。

2.中国のドレスデザイナー
2025年の成功例として、中国でドレスのデザイナーを営む個人事業主の例が出てくる。
確かにこのデザイナーはハッピーなのかもしれないが、
このデザイナーを支えるアリババやドレスの縫製を行う工場労働者はどうなんだろう。
一部の特殊な才能を持った人のことにしかフォーカスしていないと思う。
社会を支えているブルーカラーやメタルカラーに対する言及が少ないし、
あっても否定的な触れ方ばかり。

3.これから成長する分野の例
業種としてクリエイティブな領域が挙げられている。
ラッパー、DJ・・・、そんなんばっかりで世のなか廻るか?

2025年に同時通訳装置がコモディティとして普及しているかどうかは、
その分野の最先端が今どこまで来ているのかわからないので、
実現性は私にはわからない。
だけど、この例だけでなく、
あまりに現実に立脚してない記述が多すぎる。

なぜこれほどこの本が評価されているのかわからない。
浮世離れした学者のたわごとという感が否めない。
帯は著者が書いているわけではないだろうけど、
「食えるだけの仕事」で良いのかと問う前に、
食うだけでも必死な人がどれだけいるのか知ってほしい。
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 寝不足なのに五重塔まで全力疾走はきつい

  小太郎はむすっとしながらも、くすぐったげに頬をほころばせた。ただそれだけの理由で葵が、理由はわかるでしょう。とわざわざ含みを持たせて言うはずはないのだが、これにはどうやら気づかなかったらしい。そうだよな。寝不足なのに五重塔まで全力疾走はきついよな。が、さすがに状況が状況だ。すっかり忘れていた疲れを思い出してうなずくと、小太郎はきびすを返して五重塔めがけ突っ走っていった。さ、お入り。引き止めた理由はわかってるわね。小夜はうなずいた。性欲増強
 でも、説明しろと言われると困ってしまうのだ。五重塔に行かないほうがいいのはわかった。しかし、なぜ行かない方がいいのかと言われると。しばらく考えてから答えると、葵は暗がりの中で首を振った。そこまでは気が回らなかったけど、そうなっても確かにまずいわね。でも、それより私は、犬野様とあんたを会わせたくなかったのよ。一刻も早く武丸の元気な姿を見たいとはやっていた心がしゅんとしぼんだ。火事ですっかり頭になかったが、あの抑えきれないものを無理に押し殺したような、ひどく悲しげでいらだっている武丸には、思い出してしまうともう会いたくなかった。
 小夜が今とてつもなく会いたいのは、いつも声をあげて笑っていて、五頭の馬を宝物のように大事にしていて、ケンカっ早くて、腹踊りが十八番で、頼りがいのあるやさしい。情けの深いお方だから、その分、がんじがらめになっておられるの。迷いに迷って、もう何も見えなくなって、がむしゃらになってしまっている土間でうつむいていた小夜の肩を、ぽん、と葵があたたかく叩いた。
 囲炉裏のそばへと導いてくれる。あの底抜けに明るいお方が、ここまで沈みこんでおられるのを見ていて何も出来ないのはつらいねぇ。鳶も昨晩、厩から帰ってきてから急に沈みこんじまってあの鈍感でもさすがに恐ろしかったらしい。真っ青な顔をしてた。
 思わず顔をあげた小夜にむけ、葵はからからと笑い声をあげた。これから武士さまにお仕えして、教養やお行儀を学ばれて美人は得だわ。小梅ったらあの若武者様のお顔を眺めてはため息ばっかりだったものね。本当にええ、そうよ。女中仲間の噂話を聞いていたら、行き先だってすぐにわかったわ。みんなに頼みこんで、私が小梅お付の女中になったんだから間違いない。今日からお勤めなのよ。小梅に会いたくなったら手引きしてあげるからお言い。そうだ、今日のお昼にでも行かない。狐田さまのお屋敷、すぐそこなのよ。小梅も心細かろうしね。元気づけてあげましょまあね。来たばっかりでいろいろ忙しいでしょう。でも、不慣れな女房がおめしかえに手間取った。といっても言いわけの通る範囲よ。お昼までにはちゃんと作戦をたてておくから、
 ごめん、気づかなくて普段の小夜なればそれくらい大丈夫に決まってるじゃなと意地をはったろう。私が小梅さんの代わりに巫女の志願をして来たと間違われるといけないのです。そんな顔をするんじゃない。犬野さまだって、それまでしっかり寝ておきなさい。やりたくてやってるわけじゃないんだよ。まさか小梅が武家の女になるとは思わなかったわねぇ。そしてあろうことか狐田さまのお屋敷なのよ。肥滿

あの日あの時あの場所であることがあったとき

「だろうと思った」
「だってさお前、難しく説明しすぎなんだって!!」
「詳しく教えてくれっつったのはどっちだよ」
「はい、ボクです」


流れを言えばこうだ。

とある学校、といっても俺達の学校なんだけど、そこで集会が開かれた訳だ。
『3年前から今までの日本の変化』なんて名目で警視庁の人が何人か来て、いろいろ説明があったんだが・・・・
それを俺、―――高山鉄弥は爆睡しててまったく聞いてなかった訳だ。

そこで俺が頼ったのがクールでイケメンな親友である菅原翔なわけだけど
この野郎、わざわざ難しい説明の仕方しやがって。おかげでまったく理解できずに今に至ると。
いや、参ったね。

「なんなら私が教えようか?」
「お願いします天使様」
即答する俺。

は置いといて、助け舟を出してくれた目の前のエンジェルが若本美希。
最高に美人でスタイルが良くて、それこそ天子様と呼んでいいくらい優しくて慈悲深い。だいたいの男子生徒が彼女に恋するわが学校のアイドルでありまして・・・・・・
イーリーシンエンジェル美希ちゃんが分かりやすく解説してくれているあいだに、大まかに香奈ちゃんの紹介をしてみた。
別にこれ、過大評価なんてまったくしてないんだ。

美希(基本呼び捨て)が説明してくれたことをきっちり理解したと言うことで、家に帰ることにした。
俺たち3人は、あの日あの時あの場所であることがあったときから非常に仲がいい。
・・・・このことはまた後で話すとして。
どの部活も休みの日は同じなので、休みの日は毎回一緒に帰る仲だ。

ちなみに部活は
俺が陸上競技部、所属は跳躍。
翔が軟式テニス部
美希はバスケットボール部
といった感じだ。

「おい、鉄弥、香奈。『アレ』持ってきてるな?」
「ばっちりだぜ」
「物騒な世の中になったわねぇ」



徹夜は、背中に長剣を携えて帰っていた。それだけでびっくりなのだが、その剣は少々特徴的だった。
柄がないのだ。剣先も上に向けた状態で背中に携えている。
その状態で談笑しながら帰っていた。

・・・・・・いまのこのご時世だから許されるのだ。普通なら銃刀法にかかって捕まっている。
今でも銃刀法はあるが、これは魔人を倒すためのものだから許されるのだ。
ちなみに、誰もがこの対魔人・モンスター用武器『ブラスター』を持っているわけではないのだ。

そして現在、通学路である人通りの少ない住宅街(人はちゃんと住んでいる)で、3人は立ち往生していた。

「ちょっと質問してもいいか?」
「何だ」
こちらを見ずに答える翔。
「日本がめんどくさいことになって、モンスターが出てきたのは分かる。
でもさ、モンスターってもとは動物じゃん?普通こんな住宅街にはいないよな?ワン公じゃあるまいし」
「いないわね?」
次は香奈が答える。
「じゃあさ


今目の前にいるのは何?」

グルルルルル

「ほら、なんか唸ってるし、敵意マックスだし」

立ち往生している原因、それは、なんか息するたびに口から黒い煙が出ている狼っぽいのと対峙していたからだ。

「ほんとに出るんだ」
「聞いたとおりだな」
「何、なんか知ってんの?話が見えな―――」
「ブラスターであの狼を殺すんだよ」
「後で教えてあげるから、今は狼をやっつけるのが先!」

最後まで言う前に喋りだしやがった。
まあいい、いまいち話は見えないけど、やるしかないんだな。

「ええい、ままよ!」
一度言ってみたかった言葉を言い、すっきりしたところでベルトの左側に手を伸ばす。
そして引っ掛けていたあるものを抜き払った。

それは、妙な形をしたナイフだった。
   こぶし2個と半分ほどの長さを持つ柄は、掴むとぴったりとフィットするように作られていた。その先にあるのは柄の約二分の一の長さの刃だった。
明らかに柄と刃の長さが逆のナイフ。
「モンスターに効くのは魔法だったような・・・・剣で対抗できんのか?」
呟きながら背中の柄なしの剣の真下にナイフを動かした。そして柄があるはずのそこにナイフを差し込む。
ガチン、と何かが締まる音がする。直後に勢いよく前に構えた。
   現れたのは、正真正銘の真剣。これがこの二つのブラスターの本来の姿、その一部だった。

他の二人もブラスターを持っていた。
翔は、装飾一切なし、つばも申し訳程度に付いた無骨な刀。
香奈は、片や白、片や黒の長さ30cm程の双剣だった。右に白の剣、左に黒の剣を持っている。

「せいっ」
走りこみ、狼の至近距離まで来たところで翔が一閃。
しゃがんでかわし、頭突きを繰り出す狼。
翔はあたる直前に後ろに跳んで衝撃を殺す。
「時間稼ぎ頼むぞ!」
「任せて!」
香奈も狼に肉薄し、白の剣を突き出した。
狼は右にサイドステップし、またしてもかわす。
かわされた、と認識してすぐ、香奈は狼の逆方向に回転した。
「もう一つ!」
回転の勢いを乗せて、黒の剣を叩き込んだ。
後ろに跳躍するもわずかに反応が遅れ、剣先が足に当たり、切り裂かれる。少しバランスが崩れた。
「香奈!」
鉄弥の声。
「後は鉄弥がどうするか、ね?」
そしてしゃがんだ。


鉄弥も行動を開始する。鉄弥の剣は結構でかいため、人が回りにいるときは使いにくいのだ。
走りこみ、香奈のすぐ後ろまで接近する。
狼が後ろに跳躍した。だが脚が斬られる。おまけに少々バランスを崩したらしい。
―――物理的な攻撃でも普通に効くみたいだな。弱点が魔法だけど物理もいいよ、みたいな感じだろうか。
着地してもすぐには行動できないはずだ。
「香奈!」
そこまで計算し、鉄弥は―――跳んだ。
グッドタイミングでしゃがんだ香奈を飛び越え、狼が着地したところに鉄弥も飛び込む。
「とりゃぁ!」
そのまま長剣を突き下ろした。

紙一重のところで避けられる。
地面に深く刺さる長剣。―――抜けない。
諦めて前を見ると、鉄弥を切り裂こうと爪をむき出しにした前足がかかげられていた。
気合入れて渾身の一撃を繰り出し、それが裏目に出て攻撃の手が無くなった。
つまり、最悪。
「ははは・・・・やっべぇ」
振り下ろされる。
恐怖で反射的に目が閉じる。
「しゃがめ!」
とっさにしゃがんだ、というより足が崩れた。
次に来るであろう痛みを想像しながら身構えた。

ギャイン
「へ?」
痛みがやってこない。それどころか、狼の悲鳴が聞こえてきた。
目を開けると、かかげられていたはずの前足が落とされていた。
すぐ近くに落ちている前足。その奥には、20cm程の短剣が落ちていた。
すぐに後ろを見る。
「はぁ、はぁ・・・・後は任せたぞ」
酷く疲れた様子の翔が、夜の健康食品いかにも何か投げた直後みたいな状態で鉄弥に言い放った。
「さすがは翔って感じだな、んじゃ遠慮なく」
狼が、距離をとるためにまた後ろに跳んだ。
しかし、前足が1本ない状態では踏ん張ることもままならない。
こけて、アスファルトを滑る。
「悪いが、これで終了だ!」
ダッシュで近付き、立ち上がる直前にダッシュの勢いで通り抜けざまに一閃。
―――狼が崩れ落ちた。

本来なら後頭部のあるべき位置にあること

無遠慮に志郎を眺め回す、ジャッキー。その目が、左手首にはめられた腕時計に止まるのを感じた。ぎくりと身を震わせた志郎は、何気ないふうを装いながらするりと時計を外す。
 それは、大学教授をしている志郎の父が、高校の入学祝いに買い与えてくれた高価な品だった。すばやくスポーツバッグにほうり込み、代わりに部活のときに使っていたリストバンドを引っ張り出すと、ゆったりと時間をかけてはめた。
「なにそれ? かっけえ!」
 志郎の思惑どおり、ジャッキーは速攻で食いついた。
「黒地に赤星のリストバンドかよぉ。すげぇボク好み❤ どこで買ったの?」
「……知らないです」
 ドキドキしながら志郎は答えた。
「もらいものなんで、本当に知らないんです」
 実際、それがどこで売られているのか、志郎は知らなかった。中学時代、まだ仲が良かったころのジュンヤから贈られたものだからだ。
「これは友情の証だ」照れ笑いをしながら、ジュンヤは笑ったはずだ。それは確かにあったはずの事実だ。それでも、すでに彼がどんな表情をしてそう言ったのか、思い出せない。
 記憶が混乱している。
 受け入れがたい事実が、志郎を追い立てる。
 幾度、捨ててしまおうと考えたことか。あとでいい、明日でいいと先延ばしにして、今日まできてしまった。それを引き取ってもらえるのなら、都合がいい。捨てるわけではないのだから、それほどの罪悪感も抱えずにすむことだろう。
「あげますよ、欲しいなら」
 できるだけ何気なく聞こえるように、志郎はさらりとつぶやいてみた。
「いいのかよ? やりぃ! アンタ最高っ」
 腕ごとリストバンドを引っ張られ、志郎は慌てた。
「ちょっと待ってください、自分で取りますから」
 ゆったりと、慎重にリストバンドを外していく。
(腕が軽い)
 志郎には、締めつけられてできた細かなゴムの跡だけが残った。
「ありがとアリガトさんきゅっきゅ! アンタ、本当に太っ腹だねぇ」
 言いながらジャッキーは、そのリストバンドをはめるでもなく眺めるでもなく、すぐさま尻ポケットの中にくしゃくしゃに押し込んでしまった。
「ちょ……えっ? 何……」
 動揺した志郎は、自らのバッグに足を取られて転びそうになった。衝撃で、先ほどほうり込んだばかりのスポーツウォッチがのっぺりと顔をのぞかせる。深海でも時を刻むことが可能なのだという時計の価格は、数十万円。大切にしろと、父は高校生には不釣合いな品を快く買い与えてくれた。
 本当にこれが自分に必要なのか、今ではよく分からない。それでも、志郎が深海になど潜らないことだけは確かなことだった。
「よっし、仕事終了! キーワードも言わせたしな。カンペキ。あっ、あそこの牛丼屋なんてどう? ボク肉食いだからさぁ。肉食わないと、力が出ない~ってね」
 ジャッキーは満足そうな顔で、通りをうかがっている。うきうきと小躍りし、今にも駆け出さんばかりに身体を躍動させた。
「キーワードってなんですか」
 志郎は食い下がる。尻ポケットから、今にも落ちそうになっているリストバンドの星を横目にして。
「ああ」ジャッキーは大きな口を横に広げた。
「ききやルール、その四。キーワードを決め、時間内にそれを客の口から言わせること。アンタさっき言ったじゃん。欲しいならあげますよ、ってね。倒置法でも構わない。意味が同じだからねぇ」
 動揺した志郎は、反動から息がつまり激しくむせ返った。
「魚の肴、お・い・し・い・なぁ~♪」
 大柄な体躯のジャッキーが、妙な節をつけたデタラメソングを歌っている。人波は彼の前で、ぱっくりと割れ、その真後ろを歩いている志郎の背後で再びひとつにまとまった。
「これって、まるで……なんていうんだっけ?」
 志郎は、ぼんやりと空を仰ぐ。
「ああ、十戒」
 レンタルビデオ店で借りた古い映画に、海が割れるシーンがあった。CGのない時代というのに、よくあれだけのものが撮れるのだと感心した。あの名場面とこの怪しげな男とをいっしょにしては申し訳ない気がしたが、日ごろからボキャブラリィの少ないことを姉に指摘されている志郎の頭では、これが精いっぱいだ。
「ジャッキー」志郎は、上機嫌に歌っている男に声をかけた。
「少しは黙ったらどうですか」
 返事はせず、代わりに大口を開けて伸びをして、ジャッキーはぐるんと振り返った。横ではなく、縦にである。
「なんでよ?」
 本来なら後頭部のあるべき位置にある、逆さまのジャッキーの顔。そのままの体勢で、よくぞ歩いていられるものだ。ここにはほかにもたくさんの人々が行き交っていたが、v26 薬意外にも皆、無関心そうに足早に立ち去っていく。
(きっとかかわり合いになりたくないんだろうな)分かるな、その気持ち。
 志郎は、深いため息を取り落とす。
「頭に血が上っても、知りませんよ」
「もう上っちゃったし」
 ジャッキーは真っ赤な顔でぜいぜい答えた。
「さぁ、行こう! 牛丼屋はすぐそこだぞ」
「さっき魚が食べたいって言ってなかったですか?」
「あれれ? 無関心な顔しちゃって、ちゃぁんと聞いてたんだネ」
 志郎の腕を急激に引っ張りつけたジャッキーは、にたり、と笑った。

もしこの世界に神様が降臨してきたのなら

僕は走った。

もういい加減日も暮れた草道を、SEX DROPS山の中を、街灯のない月の下を走り続けた。

田舎だし山の中だしコンビニも自動販売機もないし人の通る気配のない山の道を走りぬけた。

それこそ、辛い現実から逃げ出すように。

僕は逃げたかった。

父さんから。

母さんから。

壊れた家族から。

ゆらゆらと安定しない自分から。

今ならまだ、逃げられるかもしれない。

こうやって必死にひたすらに走っていれば、いつか僕が夢見た生活が手に入るのかもしれない。

不意に僕の足がもつれて、もしかして何かに躓いたのかもしれないが、僕の体は安定感失って転げた。痛い。膝が擦りむけた。血が出ている。そして、大きな喪失感と絶望の中で僕は急に現実に引き戻される。

神様はいない。どんなに一生懸命願ったとしても誰かがそれを聞き入れてくれるわけがない。どんなにがむしゃらに走ったとしても逃げられるわけがないし誰かが助けてくれるわけもない。

「ヤクモ…」

僕は無意識のうちに彼の名を呼んでいた。

大きな闇。大きすぎる闇。光の見えない世界。世界の果てのようなブラックホールに飲み込まれる僕の、たった一つの光。ヤクモ。ヤクモヤクモヤクモ。ヤクモに会いたい。あの、太陽のようなヤクモの笑顔に会いたい。何物にも捕らわれない、大らかな大地のようなヤクモに会いたい。僕は泣いた。悔しくて悲しくて、切なくて恐ろしくて。血が滲んだ膝小僧がん熱を持っている。

「陽一」

村中に響き渡るような大声で泣いて喚いて、その僕のしゃくり声に交えて誰かの僕の名を呼ぶ声で気がついた。僕は泣くことを止めて(止めるために目をこすりながら)立ち上がり、ぐしぐしと声の主を探した。ヤクモ。僕の神様。世界の中心。

「ヤクモ!!」

僕はヤクモの姿を見つけてがむしゃらに飛びついた。僕と同じくらいの身長で体重でそれでもいくらかしっかりとしたヤクモの体は勢いよく飛び付いた僕の体重に耐え切れるはずもなくそのままばたんと草むらの中に倒れこんだ。そのまま僕がヤクモの体を押し倒すような状態で泣き続けて、ヤクモは僕の頭を抱えて上半身を起き上がらせた。そうして、僕の頭をぽんぽんと叩いたり背中を撫でたりして僕を落ち着かせてくれる。いってーな、というヤクモの声は相変わらずいくらか雑で乱暴で、それでも僕はヤクモの存在に安心していた。僕はそのままヤクモにしがみついてしゃくり続けて、ヤクモは何も言わずに僕がしがみついてしゃくり上げるのを許していて、ヤクモの白いTシャツは涙でまだら模様になる。

まったくもう、ヤクモってやつはなんでこうナイスタイミングで僕の前に登場することができたんだ?

 

 

いつの間にか外は真っ暗になっていて、群青色の空にはたくさんの星がきらきらとそれこそ宝石箱のように輝いていた。僕はあれから何度も何度でも夜の空を眺めて見上げてきたけれど、あのときほど美しく光り輝く星をみたことがない。

落着きを取り戻し始めた僕がヤクモに手を引かれてやってきた場所は僕がこの村に初めてやってきたときにきた、僕とヤクモが初めて出会ったあの河原。裸足になって水の中に突っ込んだ足がひどく冷たく、きらきらと月の光を反射する水面は生き物の存在を感じさせないくらい静かで幻想的であった。僕かヤクモが時折足を動かすと出来る水の輪/眠ることのできなかった魚の行動がそれを助長させた。言葉にならないような僕の言葉を聞いてヤクモはこれからどうするんだ?という。

「どうするって…」

「お前の父さんと母さん、離れ離れになっちゃうんだろ?お前はどうするんだよ。もう、一緒に住めないんだろ?」

お前もひとりになるのか?と無茶苦茶なことをいうヤクモに僕はいう。

「わかんない…で、も…多分、お父さん、か、お母さん、のどっちかと、一緒、に、なる…」

「ふーん」

ヤクモはそういって手元にあった小石を川に向かって放り投げた。ピシャン、ピシャン、ピシャンと水面にうっすらと張られた膜を弾くようにして飛び跳ねた小石は水面に小さな輪をいくつも描いた。

「離れ離れになったらさ」

「…うん」

「もう二度と会えないのかよ」

「…わかんない」

わからない。会わせてくれるかもしれないし、会わせてくれないかもしれない。もしくは、どちらか一方が承諾してもどちらかが承諾しないのかもしれない。

僕は不安だ。これからどうなっていくのか解らない。不安で不安で仕方がない。

「ヤクモの…」

「あ?」

「お、父さん、と、おかあ、さんは…どうした、の?」

ヤクモは再度放り投げようと振りかぶっていた手を止めて、僕に視線を向けた。それからなぜか不思議そうな顔をしてから

「バーカ。前にも言っただろ。俺の父さんは空の上。母さんは海の中だよ」

「さみしく、ないの?」

「さみしい?」

さみしくなんかねえよ、とヤクモはいう。

「一緒に、住んで、ないのに?」

「だって、父さんと母さんはいつも俺のこと見ててくれんもん」

そうしてまた小石を水面に放り投げた。

「お前、この村でるのかよ」

「?」

どういうことだ?

「だって、どっちかと一緒になるんだろ?この村出て、もっと便利なとこに引っ越すんじゃないの?」

わからない。否定もできないけど、肯定もできない。

「…わかんない」

そういって小さくなる僕に、お前、なんにもわかんねーのな、とヤクモは呆れたようにいう。

「町にいったらさ」

「…うん」

「新しい友達できんだろ?」

「…」

「そしたらさ、お前」

ヤクモはいう。

「俺のこと、忘れちゃうのかなぁ?」

「!」

僕は、その時のヤクモがあんまりにも寂しそうで切なそうで、いつもの強気なヤクモからは想像できないような弱弱しい表情をしていたことに驚いて、そしてなんだか泣きそうになった。

「わす、れ、ない…絶対、絶対に忘れない!」

僕が両手を握って全力でそういうと、ヤクモはなんだか安心したような笑顔を浮かべた。忘れない。忘れるわけがない。ヤクモ。僕の神様。僕の友達。大事な大事な僕の友達。僕のゆるゆるの涙腺はそんなヤクモの笑顔を見た瞬間再び活動を始めて、ぼろぼろと涙をこぼし始める。ヤクモは少し困ったような顔をしてから、僕の頭をくしゃくしゃとかき回した。

「お前さぁ、そんな風に泣いたり困ったりすんの、少し止めたほうがいいぞ?」

また誰か嫌な奴に虐められるぞ、という。それからニカッといつも通りの笑いを浮かべたヤクモは見てろよ、といって立ち上がった。それからいつものようにひょいひょいと川を渡り大きな岩の上に立ち上がった。

瞬間、ヤクモの体はたくさんのホタルの光に包まれて、僕は奇跡を目撃する。何万、何千という光に包まれたヤクモの輝きはそれこそ幻想的で神秘的で、包み込むなんてそんな柔らかな表現ではない、飲み込まれてしまうような神の輝き。碧いはずの水面はホタルの光と月の光・星の輝きを反射してその美しさを何倍、何十倍、何千倍と相乗させていた。都会の夜のネオン街なんてお話にならない、もしこの世界に神様が降臨してきたのなら、この世界に神というものが存在していたのならきっとこのような輝きをもっているのだろうというような。僕にはできない。僕でなくとも、誰にもこんな不思議なことはできやしない。三鞭粒そんな輝きの中で「すごいだろ」という笑顔を浮かべるヤクモ。

ヤクモはやはり神様だった。 

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